痔の話

外科 巻渕弘治

「三人に一人は痔主」といわれるほど、痔はポピュラーな病気です。
しかし「お尻を出すのは恥ずかしい」、「診察や手術は痛そうで怖い」などの理由で、肛門科の受診を躊躇している方は多いのでは?でも心配はいりません。肛門科の分野では、いろいろな工夫がされ、治療(入院)期間が短く、また痛くない治療も開発されてきました。ぜひ、勇気を出して診察を受けて下さい。


主な痔疾患

主な痔疾患といえば、痔核(じかく)(いぼじ)、裂肛(れっこう)(きれじ)、痔瘻(じろう)(あなじ)の3つです。なかでもいちばん多いのが痔核です。スポーツや排便時にいきみすぎて突然、痛みの強いしこりができる外痔核と、長年の不適切な排便習慣から起こる内痔核があります。外痔核は、短期間でなおりますが、内痔核で長い間悩んでいる人はとても多いです。


画期的な治療法〜ALTA療法

内痔核に対して画期的な治療法のALTA療法が開発され、全国の専門医から高い評価を受け、治療を受けた方々に喜ばれています。
ALTA療法は、痛みがほとんど無く安全な治療法で、注射をして痔核を縮小させるのもで、注射薬の主成分のアルミニウムとタンニンからALTA療法と呼ばれています。新しい治療法なので、講習会を受けた専門家しか許可されていません。全国的に統一された方法で実施されています。治療は10分程度で終わりますが、1泊程度の入院を基本としています。2度から3度の方に最適ですが、重症の4度の方も有効なことがあります。



痔疾患について

痔疾患イラスト


(1)痔核

痔の中でもっとも多いタイプ。おしりの血行が悪くなって、血管の一部がこぶ状になったものです。初期は出血が起こります。
一般には、「いぼ痔」とも呼ばれます。
歯状線より上(直腸)にできたものを内痔核、下(肛門)にできたものを外痔核と呼びます。


(2)裂肛

肛門の皮膚が切れたり裂けたりして傷がついたもの。強い痛みがあり、血が出ることも。
一般には、「切れ痔」とも呼ばれます。


(3)痔瘻

肛門のまわりに膿がたまり、膿が外に流れ出るトンネルができてしまった状態。発熱や痛みを起こします。
一般には、「あな痔」とも呼ばれます。



痔疾患は大きく分けて上の3種類に分類されます。
それぞれ治療法には ①保存的療法(手術などは行わないで薬や生活習慣の見直しなどで治療する方法) ②外科的療法(文字通り手術などによる治療法)があります。

さらに近年ALTA療法のような注射による治療法も確立してきました。
すべての患者様にALTA療法ができるわけではありませんが、その患者様の状態に合わせ最適と思われる治療法を提供させていただきたいと考えています。
恥ずかしがらずにまずは受診の上ご相談ください。

外科 巻渕弘治



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